あんな事を言って一体私は何をしたいの。

ただどうしようもなく耐えられなくて、泣いてすがる事もできなくて―

拒絶するしかなっかた





He won't listen to me silently






何かがあるわけじゃない、
ただ途方に暮れながらもあの人から離れたくて街を速足で歩きクリスタルへ向かっていった。


何処だっていい、誰もいない場所、一人で泣き叫けんでも誰にも見つからない所に行きたい。
そう心の中で強く願いクリスタルでテレポートしようとした時だった―




「よぉ嬢ちゃん、俺達と一緒に行こうぜ」


独特の発音、腹に響くような低い声。それは間違いなくバンガ族のものだった。

背中に感じる気配に鳥肌が立ち始める。



「・・・遠慮しておくわ」

「そう言うなってなあ?寂しそうな顔してンじゃねェか」

「・・・・それ以上喋らないで」

「そうか、判った。泣かされたんだアイツに」

「ああ、そうだ間違いない」

煩く騒ぎ出すバンガ族の仲間達、これ以上は耐えられないと一歩を踏み出した時だった。

「嬢ちゃん、そいつの名前『バルフレア』って言わないか?」

「―!!!」

「なら協力してくれんだろ?、俺達が代わりに仕返ししてやるからヨォ!!!!」

ヒステリックな声と顔それを見るなり直感的に感じた過ち。
は後ろを見ることなく走り出だした。

きっと後をつけられていたんだ。
その時、頭の中に言葉が浮かんだ言葉

「もう、邪魔にはなりたくない・・・っ」


今、奴らに捕まれば間違いなく利用される。
たとえバルフレア達がこの街出ていたとしてもその可能性になるのだけは避けなくては。


どうやって逃げ切ればいい?走りながら考え込む。
確かにバンガ族は戦闘に優れていてもその身体の大きさから切り替えしが遅い、でも
ヒュムの小回りと足なら逃げ切れる自身があった。


そう、自分一人なら―






〜〜見つけたクポー」

聞き覚えのある声が雑踏の中から聞え不安が心臓を強く脈打たせる。

「!?・・・っどうして」

振り返りその姿を探す

「ッノノ!!」

「こいつも仲間か、ツキが回ってきたな」

「クポ〜〜・・・・」



何でノノがそこにいたの、もしかしたら探しに来てくれたのかもしれない。
でもどんな理由であれこんな目に遭わせたのは他でもない私・・・。

「お願いその子を離して・・・」

「あぁ?」


「手を離せって言ったのよ・・・聞こえたでしょう?」

「誰に言ってんだ、嬢ちゃん」

「でかいのは態度と図体だけね。分からないなら黙っていて」



挑発的な発言に高揚するバンガ、私だけしか見えなくなればいい、
そうすればノノを助けるチャンスが出来る。

「ノノ」

「クポ・・・?」

『逃げるのよ』と声を出さずに口を動かし、
胸ぐらをバンガの腕を掴み自分の手を掛けた。
相手を支えに体を強く捻り護身術を中て腕を捻り上げる―
怯んだ相手の力が緩み見事その手から逃げ出し叫ぶ。

「飛んで!ノノッ!!」

「クポっ!!」

飛び立ったのを確認して私も走り出した、それでも相手は私よりも全ての事に慣れていた。

スロウをかけられた様にその腕から放たれた武器がゆっくりと後を追ってくる。
そして私の脚に触れ直後意識とは別に倒れる身体、鈍く重たい痛みが広がっていく。

運が良かったのは柄が当たり足は切れてはいなかった事だけ―




「―くっ…ッぅ・・」


「やってくれるじゃねエか」

徐々に近づく声から逃れるように近くにある木箱にもたれ掛り、
身体を起こそうと手を伸ばすが届くことなく虚しく空を仰ぐだけ。


「バルフレアを釣るエサだからな活きが悪くちゃ話になンねぇ」

「―――!!」

嫌、嫌だ。彼の名を呼ばないで!
結局どこにいても自分は足手まといなのだと思い知らされる。

強く足を引っ張られ体はまるで人形のように軽々と宙を浮き突然大地へと叩き落さた。
ズキンと音を立て体中の血液が逆流している。


「!ッかは・・・・ッ・・・―」



あまりの衝撃で呼吸が出来ない、苦しい。口の中は切れ一瞬で鉄の臭いで満たされていく。

僅かに開けた瞳から見える景色は最悪で、
見下げられて挙句人質になりこんな事をしてしまった自分に嫌気がさす。


―こんなことなら彼が無事に帰ってきたことを

「素直に喜べばよかった・・・・」



今更遅いとばかりに高笑いに消された後悔の声







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